懐かしのフィールド(土を掘って、断面を見てみれば)
こんばんわ。団 粒蔵(つぶぞう)です。団 粒子のボス的存在になります。
ミクロな写真がアップされたので、マクロな写真で対抗(?)します。
先日、新潟のブナ林に行ってきました。そこは、粒蔵が初めてフィールドサイエンス(野外での自然科学)の手伝いをした場所だったので感慨深かった!なんせ、かれこれ20年前のこと。そこでフィールドの面白さ、自然の不思議さに感激し、土のすごさの目覚め、今に至ります。
で、何を調べに行ったかというと、もちろん土壌です。
この土壌はなかなかキレイな褐色森林土でした。典型的・教科書的と言っても良さそうな森林土壌でした。
このように掘ってみると、色々なことが分ります。先ず、掘っていて石ころ(礫、レキ)が殆どなかったことから、土砂崩れや洪水によって運ばれてきた土壌ではなさそうだ、と推理できます。次に、色の縦方向の変化を見てみます。
一番上の層は落ち葉の層です。リター層あるいは有機質層、O(organic)層と呼ばれます。
その直ぐしたの巻き尺の先端から鉱物層が始まります。
尺の2の辺りまで(0~20cm)が有機物に富んだ鉱物層(A層)。
そこから下がB層です(詳しくはBw1, Bw2層と分割)。
黒っぽいA層から薄茶色のB層へ、色が「徐々に」変化していることは何を意味しているのでしょうか?これは、O層の落ち葉が、「徐々に」分解されながら、重力や雨水や土壌生物の影響を受けて下層に移動しいることを意味します。例えば、もし過去数百年の間に大きな攪乱があったならば、このような土壌にはなりません。
上の写真は、掘りやすそうな場所を選んで掘りました。が、実際のブナの木の足下には、こんなラピュタ的世界が広がっているのです。
樹木は、土に保持されている養分(窒素やリンなどの栄養塩)や水を吸収するため、そして幹を延ばし光を得るにも倒れてしまっては元も子もないので、こんなに根を張っています。
用を終えた葉や根っこは、枯死して土に還ります。それをバクテリア、糸状菌、ミミズ等の分解者達がせっせと食べることで養分が無機かされ、根がそれを吸収します。また、彼らの代謝物の一部は、土壌の粒つぶと結合し、団粒という構造をつくります。この構造が、分解者や根の生育にちょうどよい住み場環境(水分・養分・敵からの防御)を提供しているのです。
あー、やっと森の物質循環と土の粒の話がつながった!めでたし、めでたし。